2014/03/13

ボケ量とF値の関係

昔どこかで「F値が2.4で全くボケない」とつぶやいていた人がいた。

よくよく読んでみると、使用されているのは広角気味のレンズ。そりゃそうだ。それじゃボケ無いよね…。と思った。

でも”ボケの効いた写真を撮るにはF値が軽い物を選べ”というご意見をよく見かけるのも確か。
実際F値だけ見てボケるかどうか判断できるか?というと”全く判断は出来ない”というのが答え。
ではF値が軽い方がボケるというのは間違いか?というと条件付きで正解。

このあたりがカメラを始めたばかりの人が陥るところなのかな?と思う。

基本的にボケ量が決まるのは被写界深度という物が関係してる。
被写界深度とはピントの合う範囲、ぐらいの捉え方で良い。レンズのピントを合わせたとき、その対象から前後どれぐらいの範囲でピントが合うか?という厚みだ。

このピントが合う範囲が短い(被写界深度が浅い)場合、その範囲外の被写体がボケることになる(当然そうだよね)。

つまり被写界深度を浅くセッティング出来るレンズがボケ量を多く得られるレンズだと言うことになる。

では被写界深度を浅くセッティング出来るレンズとはどういう物か?という所に踏み込む。
これを”ボケ量が多い=F値が軽いレンズ”と表現してるのだが、これは先ほども書いたとおり”条件付きで正解”ということになる。

その条件とは”同じ焦点距離であれば”ということ。
焦点距離とは”28mmの広角撮影が可能”とか”600mmの超望遠”などのうたい文句にも出てくるアレのことです。

ただしコンパクトデジタル一眼の説明に出てくる”35mm換算”とかの焦点距離ではなく、実際の焦点距離。

つまり、焦点距離の違うレンズをF値の比較だけでボケ量を判断しようとするのは危険、ということです。

では何で判断するのか?。

ずばり、そのレンズの有効口径で比較する、ということです。
有効口径とはレンズの実際に使用される口径のことで、絞りを絞り込めば有効口径は小さくなり、解放すればそのレンズの最大有効口径になります。

被写界深度はレンズの有効口径が大きいほど浅くなり、小さくなるほど深くなります。
F値とは焦点距離を有効口径で割った数値なので、同じ焦点距離のレンズであれば有効口径が大きいほど軽くなります。

つまり”ボケ量が多い=F値が軽い”という認識はここが原因。

以上から考えると…

28mmでF/1.4の場合有効口径は20mm
200mmでF/5.7の場合有効口径は35mm

となり、F5.7のレンズの方がF1,4のレンズよりもボケ量が多いという事になる。
F値でボケ量が比較できないというのはこういう事なんです。

ボケ量を多く求める写真撮影は、絞り全開でNDフィルターなどを使用し露出をコントロールする…なんて事が行われます。

ちなみにレンズの有効口径がコンパクトになればなるほど、当然ボケ量が少なくなる一方なのでフォーサーズなどのデジタルコンパクト一眼カメラはボケに弱いと言われる理由でもある。

ただし…ボケ量とボケ味はまた別物なので、自分の求めるボケ味を出してくれるレンズを探すことに変わりはない…^^;